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シンポジウム

平成24年度 HPSシンポジウム開催報告
HPS国際セミナー&シンポジウム
病児・障害児の「遊びによる育み」遊育支援について考える
-すべての子どものために、すべては子どものために-
目的

 遊びは私達の生活を豊かにするだけでなく、子どもが成長発達する上でも必要な活動である。それは病児・障害児においても例外ではないが、医療や福祉の場では遊びの存在が時として軽視され、良質な遊びを提供する機会が得られないこともある。
 HPSの更なる発展を目指して開催された国際セミナー&ワークショップでは、病児・障害児の「遊びによる育み」遊育支援の視点から、入院や治療、手術に関わる子どもの負担軽減のためのプログラムが展開された。当日は開催期間が1日であったにも関わらず、全国各地より約140名の参加者があり、セミナーやワークショップ担当講師との間で積極的な意見交換が行われた。
 また、当該セミナー&ワークショップの目的は、これまでのホスピタル・プレイ実践研究成果を踏まえ、社会全体で子どもの遊ぶ力を引き出す支援のあり方を提案することであった。HPS講師によるワークショップでは、医療関係者からホスピタル・プレイに対する実践的な評価や助言が得られた結果、Playの力と価値が再考された。
 さらに、福祉や医療に関心を持つ一般参加者も多数に上り、遊びの力を効果的に引き出す方法論などを通して、「遊びによる育み」支援への理解にも繋がった。

  
概要
期日
平成25年2月2日(土)9時30分~16時30分
会場
静岡県立大学短期大学部 講堂及び食堂、各教室
対象
一般市民、HPS、医療・福祉等HPS関係者、及び本学学生・教員
参加費
無料(但し、資料代として700円)
事務局
静岡県立大学短期大学部HPS事務局
主催
静岡県立大学短期大学部
後援
NPO法人ホスピタル・プレイ協会 すべての子どもの遊びと支援を考える会
詳細

平成25年2月2日(土)

総合司会
森 裕樹
(NPO法人ホスピタル・プレイ協会/理事)
9:30-9:35
木 苗  直 秀
 開会挨拶
(静岡県立大学短期大学部学長)
 全国各地より多くの皆様にお越し頂き、誠に有難うございます。本学HPS養成講座は現在第8クールを迎え、HPSセミナーの開催や事例集の発行など、着実に実績を積み重ねてきました。本日は、英国よりお招きしたバーニー博士とHPSキャロライン先生の講演の他、静岡県立総合病院小児科の原崎先生による基調講演、そして午後からは、昨年好評であったHPSワークショップを予定しております。ご来場の皆様が、「すべての子どものために、すべては子どものために」を支える各種プログラムを通じ、充実した1日をお過ごし頂けるように願っております。
 なお、本学HPS国際セミナー&ワークショップ開催に際し、ご後援を頂いたNPO法人ホスピタル・プレイ協会様に対して、心から御礼を申し上げます。
9:35-9:45
松 平  千 佳
 主催者講演
(HPS養成教育事業責任者/静岡県立大学短期大学部准教授)
 まず、本事業に対して御支援と御協力を頂いている各位に対する感謝の辞があった。
 子ども支援に対する社会の要請はますます複雑かつ多様化しているが、その担い手となる人材は圧倒的に不足している。本事業では、学生や医療者のキャリア段位を念頭に置いた専門性教育の充実を社会的使命の1つと捉えている。
 本講演では、日常の「遊び活動」を取り上げながら、HPSの専門性について、社会との関わり、各学問分野との関わりが解説された。今後は、本学の事業実績を踏まえ、子どもに対する遊び支援の総合的なアプローチとして「遊びによる育み」遊育支援という枠組みを創造し、遊びそのものが持つ可能性を追求していくことが示された。
9:45-10:10
原 崎 正 士
 基調講演
(静岡県立総合病院小児科主任医長)
 本基調講演は「子どもにやさしい医療を提供する必要性」をテーマに、人間の遺伝や環境要因に着目し、科学的な根拠を明示しながら子ども支援のあり方が示された。
 現代医療においては、しばしば効率化という言葉が見聞される。特に日本では、「本人の健康や安全を守るため」という名目で、これまでに子どもの情緒を十分汲み取らずに医療行為が行われてきた可能性がある。
 このような問題を踏まえ、なぜ今、子どもにやさしい医療を提供する必要があるのか。たとえば、脳とこころの関係、子どもにおける心的外傷後ストレス障害(PTSD)という問題について、誰もが人間として「当たり前の感覚」を取り戻すこと、そしてそのためには遊びこそが子どもにとって重要であることが指摘された。
 最後に、静岡県立総合病院におけるHPS活動の変遷とともに、従来から行われていたプレパレーションやディストラクションは、単なる「ごまかし」の行為ではなく、痛みによる苦しみを軽減させるための行為であることが考察された。
10:10-11:00
Caroline Fawcett
 講演Ⅰ
(上級HPS,Team Manager)

 本講演は、「継続的に治療を行う必要のある子どもに対する遊び支援」をテーマとし、キャロライン氏の英国における経験を踏まえながら、最新の知見を引用して「遊び」の価値と可能性が言及された。
 子どもと関わるとき、遊びは全ての中心にある。本講演では、総合病院、救急、訪問サービス、歯科など様々な領域における「家族支援」「長期入院児への遊び支援」「日常の遊び」の成果を中心に、HPSに求められる知識・態度・技術が教授された。
 また、思春期の子どもとの関わり方に着目し、遊びによる交流と支援、そしてコミュニケーション方法について、具体的な慢性疾患の事例を交えながら解説された。

 11:10-12:00
 
  講演Ⅱ
Bernie, H. Whitaker(Top-Down Pain Control)

 本講演は、「痛みの軽減とガイドイメージ法」をテーマとし、子どもに対する痛みの対処の知識やスキル向上に興味を持つ医療者のニーズを満たすことを目的に、英国における最新の知見が紹介された。
 講演ではまず、子どもの知覚・認知から痛みを捉え直すとともに、痛みの緩和方法に着目したガイドイメージ法の解説があった。さらに、子どもが病院で経験する痛みは、子どもの気持ちと強く結び付くとして、痛みと恐怖についての心理学的及び神経生理学的な理解から、痛みの対処に関する薬理学的アプローチと共に用いることができる介入として、呼吸法、リラクゼーション及びイメージ療法の用い方が紹介された。


13:00―16;10
 HPSワークショップ
 

 本学HPS養成講座は、現在まで8クールが実施されている。養成講座修了後、HPSはこれまでにどのような活動を行ってきたのか。HPSによる日本のホスピタル・プレイ活動を紹介しつつ、ワークショップを通して、参加者は子どもにやさしい医療を実現するための活動を体験的に学んだ。
 当日の内容及びHPS講師は、写真のとおりであった。なお各ブースでは、専門的な遊び(Play)の力を体験的に捉えられるように、HPS講師による解説を織り交ぜながら、参加者が実際の玩具を制作したり、子どもの視点に基づく遊び体験が実施された。

16:20―16:30
田 中 丸  治 宣
 閉会挨拶
(静岡県立大学短期大学部部長)

 HPSの価値と遊びの力を社会に発信する上で、本セミナー&ワークショップは非常に有益な機会となりました。本日は、(1)「子どもにやさしい医療を提供する必要性」をテーマに、遺伝及び行動、そして環境要因の機能的な役割に着目した原崎正士氏による基調講演、(2)Bernie氏による英国最新の知見に基づくガイドイメージ法の解説、(3)Caroline氏によるHPS実践技術と知識の紹介、そして(4)日本のHPSによるホスピタル・プレイの解説と体験型セッションが行われました。
 本学では、昨年度までに文部科学省大学教育推進プログラム「体系的なHPS養成教育プログラムの開発」が終了し、その中で日本の教育文化・環境に則したHPS教育プログラムを完成させました。さらに当該取組成果は、日本学術振興会より特に優れており波及効果がある取組として認定され、本学HPS教育研究事業の成果に対する期待の高まりを伺うことも出来ました。
 本会冒頭では遊育支援という概念が提唱されましたが、各プログラムを通じて遊びの奥深さや発展可能性を再認識することができ、さらには子ども支援における新たな学問の確立を目指す必要性も明らかになったのではないかと考えています。
 最後に、本日の参加者各位に対して感謝が述べられ、引き続き本学HPS教育研究事業に対する支援と協力をお願いして閉会した。

当日の様子

開会挨拶

静岡県立大学短期大学部学長 木苗 直秀

基調講演

静岡県立総合病院小児科主任医長
原崎 正士

講演Ⅰ                          講演Ⅱ
    
上級HPS, Team Manager               Top-Down Pain Control 
Caroline Fawcett                     Bernie Whitaker

HPSワークショップ
    

       

閉会挨拶

静岡県立大学短期大学部部長
田中丸 治宣

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