シンポジウム
平成25年度 HPSシンポジウム開催報告
ホスピタル・プレイ・スペシャリスト第6回国際シンポジウム
子ども福祉の新たな地平を目指して
病気・障害・遊びと支援
HPSの更なる発展を目指して開催された国際シンポジウムは、北海道から九州・沖縄まで24の都道府県から約120名の参加があった。
午前中は、子どもの権利について深い知識と実績のある津崎哲雄氏と、10代の子どもたちへの支援について幅広い知識と実績を持つJeff Ashby氏を迎え、子どもにとっての遊びの意味や価値について専門的な知識と理解を深めることとなった。
午後は、本学HPS養成講座を修了したHPSによるワークショップを通して、社会全体で子どもの遊ぶ力を引き出す実践的な支援のあり方が再考された。
また、当日は、HPSの勤務する病院に協力を頂き、入院・通院している子どもたちの作品や、その作品を作っている際の写真も展示した。子どもたちに「魔法のかばんがあったら何を入れて持ってくる?」と聞いたところ、子どもたちはそれぞれの思いをかばんに詰めてくれた(魔法のかばんプロジェクト)。参加者は手にとって、かばんの中身を確認していた。
概要
- 期日
- 平成26年2月1日(土)10時00分~16時30分
- 会場
- 静岡県立大学短期大学部 講堂、教室
- 対象
- 小児医療・児童福祉関係者、および子どもの遊び支援に関心をお持ちの方(学生を含む)
- 参加費
- 無料(但し、資料代として1,000円)
- 事務局
- 静岡県立大学短期大学部HPS事務局
- 主催
- 静岡県立大学短期大学部
- 後援
- 静岡県立大学大学院 経営情報イノベーション研究科 地域経営研究センター
NPO法人ホスピタル・プレイ協会 すべての子どもの遊びと支援を考える会
詳細
◆平成26年2月1日(土)
- 総合司会
- 入江 慶太
- (川崎医療短期大学医療保育科 講師/HPS)
- 10:00-10:05
- 木苗 直秀
- 開会挨拶
- (静岡県立大学短期大学部学長)
本学でのHPS養成教育事業の経過および本シンポジウムのプログラムの紹介があり、開会挨拶とした。
- 10:05-10:15
- 松平 千佳
- 主催者挨拶
- (静岡県立大学短期大学部 准教授・HPS養成教育事業責任者)
本事業に対して、ご支援とご協力を頂いている各位に対する謝辞があった。また、事例集をエビデンスとし、「遊び育む」という理論の形成を追究していくことを述べた。
- 10:15-11:15
- 津崎 哲雄
- 基調講演
- (京都府立大学 公共政策学部 福祉社会学科 教授・博士)
「子ども福祉の新たな地平:発達権保障の中核としての遊びを考える
本基調講演では、遊びを剥奪された子どもに及ぼす影響を踏まえ、自身を育んだ遊びを顧みながら、遊びの持つ意味を考察した。また、遊びに関わる歴史上の2つのエピソードについて紹介し、遊びと窮状にある子どもの福祉の関わりを探った。これらの考察の上、遊びを奪われた現代の子どもについて考えた。遊び保障は子どものライフチャンス保障の最前線にあり、子どもの福祉保障の究極的指標の一つであり、発達権を保障する手立てであることを確認した。
- 11:15-12:00
- Jeff Ashby
- 講演
- (ジョージア州立大学 カウンセリング・心理学部 教授・博士)
「思春期の子どもたちの発達課題と遊び活動を用いた支援」
本講演では、様々な状況のため、遊びの機会を奪われる子どもに対して、養育に関わる大人が発展させなければならない知識や技術が教授された。講演、対話、プレイフルな実践を通じて、子どもの内的な遊ぶ力を敬う姿勢、自然な遊びが発展する支援方法、子どもと一緒に真に遊ぶ実践が紹介され、子どもの遊び活動を再び促進することにつながった。
- 13:00-16:10
- a
- HPSワークショップ
- a
本学HPS養成講座は、現在9クールが実施されている。これまでに養成講座を修了したHPSにより、日本のホスピタル・プレイ活動を紹介しつつ、ワークショップを通じて、参加者は子どもにやさしい医療を実現するための活動を体験的に学んだ。
(A)チャイルド・フレンドリーな環境づくり 担当:HPS静岡ブロック
(B)プレイ・プレパレーション 担当:HPS名古屋ブロック
(C)治癒的な遊び 担当:HPS関西ブロック
(D)ディストラクション・セラピー 担当:HPS関東ブロック
※参加者は会場を移動し、すべてのセッションに参加した
- 16:20-16:30
- 田中丸 治宣
- まとめ・閉会挨拶
- (静岡県立大学短期大学部部長)
閉会挨拶に先立ち、主催者より、講師であるJeff Ashby氏および社会人専門講座HPS養成事業の英国講師(プール総合病院 上級HPS)であるCaroline Fawcett氏を紹介した。
その後、田中丸より、本学における今後のHPS養成教育事業について述べ、閉会の挨拶とした。